知覚過敏

 

2月に入り、高田馬場でも身を切るような寒さが続いていますね。 朝、いつものように顔を洗って、うがいをした瞬間。

「キーン!」

冷たい水が歯に触れた衝撃で、思わず顔をしかめてしまった……そんな経験はありませんか? 「また知覚過敏かな」「様子を見れば治まるかも」と、つい後回しにしがちなこの痛み。実はその裏側では、歯の中で驚きの「物理現象」が起きているんです。

今回は、当院が大切にしている「歯を抜かない・削らない」ための予防医学の視点から、あの刺激の正体を楽しく紐解いてみましょう。

 

歯の中に広がる「数万本の水のトンネル」

私たちの歯の内側(象牙質)には、象牙細管(ぞうげさいかん)という、目に見えないほど細いトンネルが無数に走っています。その数、なんと1平方ミリメートルあたり数万本!

このトンネルは歯の神経へと繋がっており、中には「組織液」という液体が満たされています。 ここで登場するのが、歯科医学の重要な理論である「動水力学説(Hydrodynamic Theory)」です。

 

【ブレンストレム博士のワンポイント解説】

 歯の表面に冷たさやブラッシングなどの刺激が加わると、このトンネルの中の液体が、内側や外側へ「ギュン!」と猛スピードで動きます。 その液体の移動(流動)が、奥にある神経を刺激して「痛い!」という信号を送る……。これが、知覚過敏の正体なのです。

(参考文献:Brännström M. Sensory Mechanisms in Dentine. 1963.)

つまり、しみる感覚は神経に直接何かが触れているのではなく、「歯の中の液体がジェットコースターのように動いたこと」への反応だったのです。

 

なぜ「知覚過敏」と「むし歯」は見分けがつかないのか?

ここからが、保存歯科において非常に大切なお話です。

実は、患者さんが感じる「知覚過敏のキーン!」と「虫歯のキーン!」。この二つは、脳に届くときにはほとんど同じ信号になっています。

  • 知覚過敏:歯ぐきが下がってトンネルの入り口がオープンになり、水が動く。
  • むし歯:菌が歯を溶かしてトンネルの壁を壊し、そこから水が動く。

入り口の壊れ方は違っても、起きているのは同じ「液体の移動」。 だからこそ、「痛みは一瞬だし大丈夫」という自己判断は禁物です。脳に伝わるシグナルが似ている以上、精密なチェックを行わない限り、本当の原因を突き止めることは難しいのです。

 

「抜かない・削らない」ための小さなサイン

いなげ歯科では、「可能な限り抜かない・削らない・痛くない」治療をコンセプトにしています。

「しみる」という感覚は、歯が一生懸命に「これ以上、奥まで刺激を入れないで!」「異変が起きているよ!」と教えてくれている、精巧なアラート機能です。

2月の寒さでこのアラートに気づけたなら、それは歯を守る最大のチャンス。 早めに「水のトンネル」の状態をチェックし、適切なコーティングや再石灰化の処置を行うことで、将来的に歯を削ったり、神経を取ったりするリスクを最小限に抑えることができます。

 > 医院コンセプト

 

高田馬場駅近く、お仕事帰りや土曜日もご相談ください

「ただの知覚過敏かな?」とやり過ごす前に、まずはその「水のトンネル」の健康状態を確認させてください。当院は患者さん一人ひとりと向き合う「患者さんファースト」の歯科医院として、丁寧な診断を心がけています。

冷たい水に負けない健康な歯で、暖かい春を迎えられるようにお手伝いします。 「もっと早く来ればよかった」という後悔を、「早く相談してよかった!」という安心に変えていきましょう。

 

【いなげ歯科医院のご案内】

  • アクセス:高田馬場駅 戸山口(南)出口より徒歩2分(駅近で通いやすい!)
  • 診療内容:一般歯科・予防歯科・歯周病治療・矯正歯科・ホワイトニング等
  • 診療時間:平日はもちろん、土曜日も営業しております。

参考文献

  1. Brännström M. Sensory Mechanisms in Dentine. 1963.
  2. Brännström M, Aström A. International Dental Journal. 1972;22(2):219-227.
  3. Addy M. International Dental Journal. 2002;52(S5):367-375.
  4. Orchardson R, Gillam DG. JADA. 2006;137(7):990-998.




いなげ歯科は、2009年4月にこの高田馬場の地で開院しました。

そして2026年、17年目を迎えます。

振り返ってみると、診療スタイルや使う機器は少しずつ変わってきました。

しかし、開院当初から一度も揺らいでいない考え方があります。
それは――
「できるだけ歯を残す」ことを、学問として、技術として、誠実に実践するという姿勢です。

これは決して理想論ではありません。

日々、目の前の一本の歯と向き合いながら積み重ねてきた、現実的な判断の結果でもあります。



痛みがないむし歯ほど、見過ごされやすい


「むし歯は痛くなったら歯医者に行けばいい」
多くの方が、今もそう考えているかもしれません。
しかし実際には、日本では成人の約3割が未処置のむし歯を抱えているとされています。

しかもその多くは、強い痛みを伴いません。

成人のむし歯は、

・詰め物や被せ物の下
・歯と歯の間
・歯ぐきとの境目

といった、自分では確認しづらい場所で、静かに進行することが多いのです。
「特に困っていない」
その言葉の裏で、むし歯が少しずつ深くなっていることも、決して珍しくありません。



放置されたむし歯が、歯の運命を変えてしまうこと


むし歯は、放っておいて自然に治る病気ではありません。
むしろ、時間とともに選択肢が減っていきます。

・削る量が増える
・神経を取らざるを得なくなる
・被せ物が大きくなる
・最終的に歯を失うリスクが高まる

治療のスタートが遅れるほど、「歯を守る治療」から「失った機能を補う治療」へと、診療の性質が変わっていきます。
だからこそ私たちは、「今すぐ治療が必要かどうか」だけでなく、「この歯を、どこまで残せるか」を考えます。



保存歯科という考え方


歯科医療には、さまざまな専門分野があります。
私の専門は保存歯科です。
保存歯科とは、むし歯や歯の神経の炎症、歯周病に対して、

・できるだけ削らない
・できるだけ抜かない
・自分の歯をできるだけ長く使う

ことを目的とした分野です。

診療中、患者さんからこんな言葉をよく耳にします。
「神経を取らずに済みませんか?」「抜歯と言われましたが、本当に他に方法はないのでしょうか?」

こうした問いに対して、感覚や経験だけで答えるのではなく、科学的根拠(エビデンス)を踏まえて判断する――
それが保存歯科の基本姿勢です。



大学病院で学んだ「長く噛める」という視点


私は日本大学大学院保存学科にて歯学博士を取得し、
その後、日本大学歯科病院に約10年間勤務しました。

大学病院では、日々の診療に加え、

・症例検討
・研究
・学会発表

を通して、「なぜこの歯は残せたのか」「なぜこの歯は守れなかったのか」
を何度も振り返ってきました。
短期間で“きれいに治った”かどうかよりも、
10年後、20年後にその歯で噛めているか。

その視点は、現在のいなげ歯科の診療にも、そのまま引き継がれています。

「治すため」だけでなく、「守るため」に通う歯科へ
小さな変化の段階でむし歯を見つけられれば、

・削る量を最小限にできる
・神経を守れる可能性が高まる
・治療の負担や回数も軽くなる

といったメリットがあります。
症状が出てからではなく、
症状が出ないうちに確認する。

 それが、歯を長く使い続けるための現実的な方法です。

高田馬場で17年。
これからもいなげ歯科は、「できるだけ歯を残す」という診療を、静かに、誠実に続けていきます。

>>診療の流れ



【エビデンススペース(参考情報)】


本記事は、以下の公的データや歯科医学の知見を参考に構成しています。

    • 厚生労働省「歯科疾患実態調査」
      
成人における未処置むし歯の存在や、年齢とともに自覚症状の乏しいむし歯が増える傾向が報告されています。

 

    • 日本歯科保存学会の基本的な考え方
      保存歯科は、歯の寿命を延ばすことを目的とし、早期発見・最小限の侵襲(MI:ミニマルインターベンション)の重要性が示されています。

 

    • 大学病院・保存系診療科における長期予後研究
      むし歯や歯髄治療では、短期的な治療結果だけでなく、10年・20年単位で歯が機能しているかという視点が重要とされています。

 

    • 定期管理(メインテナンス)に関する臨床報告
      定期的に歯科でチェック・管理を受けている方は、歯の喪失リスクが低いことが多くの臨床現場で確認されています。

 





新年あけましておめでとうございます。
高田馬場駅から徒歩2分の いなげ歯科 院長の稲毛です。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

いなげ歯科は、2009年4月にこの高田馬場の地で開院し、2026年で17年目を迎えます。
開院以来、私たちが一貫して大切にしてきた考え方があります。
それは――「できるだけ歯を残す」ことを、学問として、技術として、誠実に実践するという姿勢です。



保存歯科とは何か


歯科医療にはさまざまな分野がありますが、私の専門は保存歯科です。
保存歯科とは、むし歯や歯の神経の炎症、歯周病などに対して、
「抜く・削る」を最小限にし、自分の歯を長く使い続けることを目的とした分野です。
「神経を取らないで治せませんか」
「抜歯と言われたけれど、本当に他に方法はないのでしょうか」
こうした患者さんの疑問に対して、
感覚や経験だけでなく、科学的根拠(エビデンス)に基づいて答える。
それが保存歯科の役割であり、私自身がこの分野を選び、学び続けてきた理由です。



日本大学・保存学での研究と臨床


私は日本大学大学院保存学科にて歯学博士を取得し、
その後、日本大学歯科病院に約10年間勤務しました。
大学病院では、日常診療だけでなく、症例検討、研究、学会発表を通じて
「なぜこの歯は残せたのか」「なぜこの歯は守れなかったのか」を繰り返し検証してきました。
短期的に“きれいに治った“かどうかではなく、10年後、20年後も噛めているか――
その視点は、現在の診療にも大きく影響しています。



保存学専門医であるということ


私は 日本歯科保存学会 専門医 の資格を有しています。
これは、保存歯科分野において、一定以上の臨床経験・症例提出・学術活動が認められた歯科医師にのみ与えられる資格です。
専門医であることは「特別な治療ができる」という称号ではありません。
むしろ、
安易に抜かない
根拠のない治療をしない
長期的な視点で説明責任を果たす
――その覚悟を社会に示すものだと考えています。



保存歯科が、患者さんにもたらすもの


保存歯科が患者さんにとって何をもたらす
それは単に「歯が残る」という結果だけではありません。

・自分の歯で噛める時間が長くなる
・将来のインプラントや義歯の選択肢が広がる
・医療費や治療回数の負担を抑えられる可能性がある
・「まだ残せる」という選択肢を知ることができる

歯を残すことは、人生の質(QOL)を守ることにつながります。
その価値を、専門用語ではなく、患者さんの言葉で伝えること。
それもまた、私たちの仕事だと考えています。



診断精度へのこだわり


いなげ歯科では、
マイクロスコープ、デジタルレントゲン、歯科用CTを導入し、
「見えないまま治療を始めない」 ことを徹底しています。
保存歯科において、診断の精度は治療結果に直結します。
削る前に、抜く前に、
「本当にその判断が最善か」を、できる限り客観的に検証する。
その積み重ねが、信頼につながると信じています。



2026年も、歯を残す医療を

医療は、流行やキャッチコピーで選ばれるものではありません。
静かに、しかし確実に、
「この医院で診てもらってよかった」と思っていただける時間を積み重ねること。
2026年も、
歯を残す可能性を、最後まで一緒に考える歯科医院として、
高田馬場で診療を続けてまいります。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。