こんにちは、いなげ歯科です。

皆さんは、お口の健康と睡眠が関係していることをご存じでしょうか。

「歯医者なのに睡眠?」

そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし近年、歯科医療の世界では、睡眠の質がお口の健康や歯の寿命に大きく関わっていることが分かってきています。

むし歯や歯周病を予防するためには、歯磨きや定期検診だけでなく、質の良い睡眠も大切な要素なのです。

睡眠中のお口は細菌が増えやすい

私たちのお口の中では、唾液が細菌の増殖を抑えたり、歯を修復したりする重要な働きをしています。

ところが睡眠中は唾液の分泌量が大幅に減少します。

そのため、就寝前の歯磨きが不十分な状態で眠ると、お口の中の細菌は一晩中増殖し続けることになります。

朝起きた時に口の中がネバネバしたり、口臭が強くなったりするのはそのためです。

つまり、寝る前のセルフケアは一日の中でも特に重要なのです。

睡眠不足は歯周病を悪化させることがあります

歯周病は細菌感染によって起こる慢性的な炎症性疾患です。

一方、睡眠不足が続くと身体の免疫機能が低下し、炎症を抑える力も弱くなります。

その結果、

・歯ぐきが腫れやすい
・出血しやすい
・歯周病治療の反応が悪くなる

といった状態につながる可能性があります。

近年では、睡眠不足と歯周病の関連を示す研究も報告されており、お口の健康を守るためには生活習慣そのものを見直すことが重要と考えられています。

歯ぎしり・食いしばりは歯の寿命を縮めることも

睡眠中の歯ぎしりや食いしばりは、多くの方が自覚していません。

しかし実際には、

・歯がすり減る
・歯にヒビが入る
・詰め物や被せ物が壊れる
・知覚過敏が起こる
・顎関節症になる

など、さまざまなトラブルの原因になります。

特に歯周病によって支えが弱くなった歯に強い力が加わると、歯の寿命を縮めてしまうこともあります。

当院でも定期検診の際に、歯の摩耗や咬耗の状態から歯ぎしりの有無を確認することがあります。

いびきや無呼吸もお口と関係しています

近年注目されているのが睡眠時無呼吸症候群です。

睡眠中に呼吸が何度も止まる病気で、

・大きないびき
・日中の眠気
・集中力低下
・高血圧

などとの関連が知られています。

実は、顎の形や舌の位置、歯並びなどがお口の中の気道の広さに影響することがあります。

歯科では医科と連携しながら、マウスピースによる治療が行われる場合もあります。

睡眠の問題は全身の健康だけでなく、お口の健康とも深く関係しているのです。

歯を長持ちさせるためにできること

私たちは歯を守るために、

・丁寧なセルフケア
・定期的なメインテナンス
・むし歯や歯周病の予防

を大切にしています。

しかし、それだけでは十分ではありません。

質の良い睡眠を確保し、身体の回復力や免疫力を維持することも、お口の健康を守る大切な要素です。

もし、

「朝起きると顎が疲れている」

「歯ぎしりを指摘されたことがある」

「いびきが気になる」

といった症状がありましたら、お気軽にご相談ください。

歯科医院は歯を治療するだけでなく、生涯にわたってお口と全身の健康を支える場所でもあります。

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エビデンス・参考文献
睡眠と口腔健康の関連については、近年多くの研究が報告されています。睡眠不足は免疫機能の低下や慢性炎症と関連し、歯周病のリスク因子となる可能性が示されています。また、睡眠時ブラキシズム(歯ぎしり)は歯の摩耗や破折、顎関節症との関連が国際的に認められています。さらに睡眠時無呼吸症候群は高血圧、糖尿病、心血管疾患との関連が報告されており、歯科領域でもマウスピース治療が広く活用されています。近年の予防歯科では、お口だけでなく生活習慣や睡眠を含めた包括的な健康管理の重要性が重視されています。

【参考文献】
American Academy of Sleep Medicine (AASM)
Lobbezoo F, et al. Journal of Oral Rehabilitation. 2018.
日本睡眠学会 睡眠時無呼吸症候群診療ガイドライン
厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠と健康」
Journal of Clinical Periodontology