
春になると、「歯ぐきが腫れている気がする」「出血しやすい」「口の中がベタつく」といったご相談が増えます。実は、花粉症と歯周病はまったく無関係ではありません。
花粉症(アレルギー性鼻炎)はIgE抗体が関与するⅠ型アレルギー反応で、ヒスタミンやIL-4、IL-5、IL-6、TNF-αなどの炎症性サイトカインが放出されます。これらは局所だけでなく全身の炎症状態を高めることが知られています。
一方、歯周病は歯周病原細菌に対する宿主の炎症応答によって歯周組織が破壊される慢性炎症性疾患です。IL-1β、IL-6、TNF-αなどの炎症性サイトカインが組織破壊に関与することが明らかになっています。
つまり、両者は「炎症」という共通のメカニズムを持っており、炎症が強まる季節には歯ぐきの症状が悪化しやすい可能性があります。
さらに重要なのが口呼吸です。花粉症による鼻づまりは口呼吸を引き起こします。口呼吸は口腔乾燥を招き、唾液の抗菌作用・緩衝作用・自浄作用を低下させます。唾液量の低下は歯周病のリスク因子の一つとされています(日本歯周病学会「歯周治療の指針2022」)。
また、抗ヒスタミン薬の副作用として口渇が報告されており(Sreebny & Schwartz, 1997)、これもプラークの停滞や炎症悪化につながる可能性があります。アレルギー性鼻炎と歯周状態との関連を示唆する報告もあります(Gomes-Filho IS et al., 2013)。
「春だけ歯ぐきが腫れる」
「花粉症の時期は口臭が気になる」
こうした症状は、偶然ではないかもしれません。
■ いなげ歯科からのアドバイス
花粉症の時期に歯ぐきを守るために、次のポイントを意識してみてください。
① 鼻が詰まっている時ほど、丁寧な歯みがきを
口呼吸が増える時期は、プラークが停滞しやすくなります。歯と歯ぐきの境目をやさしく丁寧に磨きましょう。
② こまめな水分補給と唾液ケア
水をこまめに飲む、キシリトールガムを活用するなど、唾液分泌を促す工夫を。
③ 刺激の強い洗口液の使いすぎに注意
乾燥が強い時期はアルコール系洗口液が刺激になる場合があります。状態に応じた選択が大切です。
④ この時期こそプロのクリーニングを
炎症が強まりやすい時期は、歯科医院での歯周チェックとクリーニングが効果的です。
歯周病は静かに進行する病気です。季節性の炎症増悪を放置せず、早めにコントロールすることが将来的な歯の保存につながります。
いなげ歯科では、「できるだけ抜かない・削らない・痛くない」治療を基本としながら、予防管理を重視しています。春の不調を“体質だから”とあきらめず、お口の状態もぜひチェックしてみてください。
> 予防歯科
高田馬場駅戸山口(南)出口より徒歩2分。
気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
【参考文献】
- Gomes-Filho IS, et al. Influence of allergic rhinitis on periodontal conditions. J Periodontol. 2013.
- Sreebny LM, Schwartz SS. A reference guide to drugs and dry mouth. Gerodontology. 1997.
- Preshaw PM, et al. Periodontitis and systemic inflammation. J Dent Res. 2009.
- 日本歯周病学会 編『歯周治療の指針2022』





